自民党新総裁となった岸田文雄氏ですが、
実は岸田家は台湾とも深い関わりがあります。
岸田氏の曽祖父に当たる岸田幾太郎(いくたろう)は日本統治時代が始まってから間もなく、
広島から台湾の基隆(きいるん)に移り、材木商や呉服店を経営していました。
その名も「岸田呉服店」と「岸田材木店」。
日本統治時代の基隆は台湾の門戸として栄えていましたが、
まさにその基隆の目抜き通りに店を構えていました。
「キ」と記された屋号が目立ちますね(日本統治時代に発行された絵葉書)
残念ながら拙著『古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年』(祥伝社)では
岸田呉服店のカットは掲載していないのですが、
基隆は少し多めに写真を掲載しているので、もしよろしければ、以下をご覧ください。
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『古写真が語る 台湾 日本統治時代の50年』(祥伝社)
なお、以下の地図は昭和10年頃に編纂された基隆市の住宅地図です。
岸田呉服店の近くには基隆市役所(現・基隆市政府)があり、
また、基隆神社の跡地にも狛犬や石灯籠が残っています。
岸田家と基隆、日本ではあまり知られていませんが、
台湾では早くもニュースになっていますね。
なお、岸田呉服店は隣りに食堂と喫茶部を設けており、
こちらもよく知られていたそうです。
ちなみに、日本統治時代の住所は基隆市義重町2丁目18番地。
残念ながら、幾太郎自身は5年あまりで台湾を離れていますが、
その後、岸田呉服店は基隆を代表する商店となっていきました。
現在も建物は残っており、その姿を留めています。
残念ながら、正面上部の屋号は残っていませんが、
機会があれば、ぜひ訪ねてみていただきたいスポットです。
現在の様子(2021年9月撮影)