作家の張文山さんをお訪ねする機会をいただきました。
草笛奏者の第一人者としても知られている張先生。
昭和8年、台湾東部の玉里に生まれ。故郷・玉里を舞台にした作品を何篇か手がけておられます。
私は台湾で刊行されている日本語情報誌『な〜るほどザ台湾』で、林慧兒編集長(当時)がお書きになった記事で張先生を知り、
創意力文化公司の謝森展さんからも張さんのご著作をいただいていました。
これが非常に興味深い内容で、ぜひぜひお会いして、お話しをうかがいたい!と切に願っていました。
その後、10年近く、時間があいてしまいましたが、先月、台北南山ロータリークラブでスピーチをした際、
メンバーのダグラス・チャンさんと知り合う機会を得、張文山さんがダグラスさんの恩師であることがわかりました。
まさに10年越しの夢が叶うことになりました。
張文山さんの作品は日本統治時代と戦後の国民党独裁政権時代の混乱期の様子を克明に描いています。
史実に対して忠実に、しかも読みやすくて親しみやすい文章で、一気に引き込まれてしまいます。
郷土史料としての側面と小説としての側面とが絶妙に絡み合った独特な作風です。
日本統治下の玉里の様子に始まり、住民の人間模様、戦後の混乱期の葛藤など、
生々しく、鮮明に描かれています。
今回、張先生からいただいたのは自作の作品をもとに作られた日本語教材。
『讀小説學日語〜小説を通して学ぶ日本語』という一冊です。
2007年に台湾の大新書局から出たものですが、
ここには『林校長の坂道』、『贖罪公園』という自作の二篇が教材として収録されています。
http://www.dahhsin.com.tw/proinfo.php?id=61
大新書局内の著作ページ(購入もできます)
今回は2時間あまりの時間でしたが、知的な刺激をたくさんいただきました。
ご紹介いただいたダグラス先生、ありがとうございました。
張先生とダグラスさん