『台湾に残る日本鉄道遺産』は台湾に残された日本統治時代の鉄道遺産を取り上げた一冊です。
木造駅舎やターミナル建築、石碑、隧道の扁額、橋梁など、その内容は多岐にわたります。
いずれも「鉄道遺産」と呼ぶにふさわしいものばかりですが、
本書では、そういったものを台湾の人々がどのようにとらえ、扱っているかという一面に触れたいと思ってみました。
台湾は戦後、国民党による言論統制の時代を経て、ようやく自由な時代を迎えました。
これと同時に、かつてはタブー視されていた郷土研究が盛んになり、
鉄道文化についての関心も高まりました。
今や歴史建築の保存については日本を上回るほどに熱心です。
前著『台湾鉄路と日本人』では日本統治時代の鉄道史を紹介しましたが、
本書は実際にこの本をもって旅に出られるよう、様々な工夫を施してみました。
第4章では日本統治時代の駅スタンプを紹介し、巻末には「台湾の鉄道遺産一覧」を付けています。
皆さんの旅のお供になれることを著者として祈っております。
『台湾に残る日本鉄道遺産』目次
台湾鉄道全図
日本統治時代の台湾鉄路
第一章 日本が残した鉄道遺産
彰化機務段―産業遺産となった扇形車庫
舊山線―観光鉄道として復活した山越えの道
糖廠―台湾を支えた精糖事業と観光列車
阿里山森林鉄道の旅
太平山の森林鉄道と観光列車
第二章 台湾で行き続けるターミナル建築
新竹駅―戦前、もっとも美しいと言われた名駅舎
台中駅―大正の名建築と絶賛された駅舎
嘉義駅―昭和時代初期のターミナル建築
台南駅―ホテルを擁したコロニアル風駅舎建築
高雄駅旧駅舎―帝冠様式の壮麗な建築
第三章 日本統治時代の木造駅舎
海線旅情―海岸沿いに続く木造駅舎群
菁桐駅―炭鉱の町に残る木造駅舎
香山駅―かつては海水浴場で知られた駅
集集駅―復興の象徴となった木造駅舎
北門駅―往年の駅前風景が残る木造駅舎
後壁駅―温泉郷の玄関口として賑わった駅
林鳳営駅―南国仕様の老駅舎を訪ねる
保安駅―観光名所となった木造駅舎
竹田駅―日本語図書室を併設する駅
第四章 訪ねてみたい鉄道遺産
山佳駅―洋風駅舎が残る小さな駅
舊泰安駅―復活した駅舎と震災復興記念碑
二水駅―昭和期に見られた地方駅舎
斗南駅―日本統治時代最後の駅舎建築
阿里山の山林に眠る石碑
切り倒された神木―阿里山のシンボルは今
打狗鉄道故事館―鉄道ファンが支える老駅舎
旧台東駅―芸術空間として整備された廃駅舎
鉄真院―鉄道員によって開かれた仏教寺院
第五章 日本統治時代の駅スタンプ
台湾版駅スタンプの歴史
魅力的なスタンプの世界
台湾に駅スタンプはいくつ存在したか
戦争とともに終焉を迎えたスタンプ文化
スタンプ紹介
付録 台湾の鉄道遺産一覧
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