台湾美食イベント「伝承臺菜餐廳」
10月21日に開催された食のイベント「伝承臺菜餐廳」。
経済部(財務省に相当)が主催するイベントで、
今年(2021年)は「伝承」をテーマとし、優良な台湾料理店が選出されました。
今回、私たちもお招きいただき、式典を取材したのですが、
なかなか壮大な式典でした。
今回応募があったのは117軒。
その中から72軒が選出され、
さらに審査員が全台湾を巡り、
最終的に12軒に絞り込まれたとのこと。
日本人にもお馴染みの「欣葉鐘菜」や「青葉台灣料理」、「儂來餐廳」から、
ミシュランにも選ばれた「米香台菜餐廳」、
さらに台南の「錦霞樓」や花蓮の「山海宴旬料理」など、
かなり豪華なラインナップでした。
王経済部長のスピーチ
そのほか、「丰禾台式小館」や「兄弟食堂」、
「新天地國際實業股份有限公司-梧棲創始店」、「大眾餐廳」、
「府城食府正宗台南料理」、「佳珍海產餐廳」などもあり、
どこも訪れてみたい店ばかりでした。
表彰式が続きます
名シェフたちがパネルで紹介されています。
今回のイベントはシェフたちへの表彰式がメインでしたが、
それだけでなく、「辦桌」と呼ばれる台湾の宴席料理も振舞われました。
これは結婚式や寺廟の祭典に出てくる料理で、
この料理を担当するシェフは「總鋪師」と呼ばれています。
ヒット映画「總舖師(祝宴!シェフ)」をご覧になった方もいるかと思いますが、
總舖師は台湾料理界の中でも一目置かれる存在。
この日はこの映画の料理監修を担当した施建發氏のほか、
映画「飲食男女」で料理を監修した黄徳興氏や、
欣葉レストランの総料理長を務めている陳渭南氏、
頂廚國宴のシェフである黄徳忠氏など
レジェンド級の總鋪師たちが勢揃いしていました。
料理はいずれも手が込んだもので、
テーブルに運ばれてくるたびに嬉しい溜息が漏れたほどです。
メニューも凝ったつくりでした
中でも感動したのが、具だくさんのスープ「佛跳牆」。
これは黄徳興氏と施建發氏が手がけたもので、
一般的には具材のタロイモが煮崩れし、
スープが濁っていることが多いのですが、
こちらはすっきりと澄んでいるのが特徴。
これは手羽先の中にタロイモを入れて煮込むという秘策があります。
魚の骨と鶏ガラでダシを取ったスープは滋味深く、
かつ素材の旨味が際立っているように感じられました。
陳渭南氏と「兄弟餐廳」の郭宏徹氏が手がけた「大明蝦」も特筆ものでした。
これはクワイや板油(豚の腹部の厚い板状の脂肪)の上にエビをのせ、
しっかりと蒸したもの。
食感も味も重層的で、記憶にしっかりと残る味わいでした。
シェフたちの真心と気合が込められた料理たち。
その味わいは感動の連続で、
最後まで飽きることなくいただきました。
こういった伝統料理は手間暇がかかるため、
敬遠されてしまうことが多く、
継承者も減ってしまっているという話を聴いたことがあります。
今回改めてその奥深さを知るとともに、
シェフたちの伝統料理に向ける熱いまなざしに触れることができました。
こういった料理の技を次世代に伝わってほしいと強く思いました。
蓮の実やタロイモ団子の入ったあったかデザート
皆さん、気合の入った表情をしています
経済部では毎年こういった企画を実施しているとのこと