龍應台著「台湾海峡1949」（白水社・天野健太郎訳）
白水社から出ている龍應台著「台湾海峡1949」。
昨日、その訳者である天野健太郎さんにお会いしました。
天野さんは台湾で刊行されている書籍を日本で翻訳出版するお仕事をなさっておられます。
http://www.bun-bun-do.com/index.html
天野さん主宰の聞文堂のウェブサイト
この本の原題は「大江大海 一九四九」。２００９年８月に刊行され、空前の大ヒット作になりました。
台湾と香港だけで42万部という数字からもその「凄さ」がわかると思います。
なお、中国では発禁のため、台湾旅行中に買っていく中国人があとを絶たないそうです・・・
http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08216
白水社のページ
蒋介石率いる国民党政府が台湾へ撤退した１９４９年、そして、その後に台湾で展開された歴史と運命のストーリーたち。
日本統治時代が終わり、大混乱の中で繰り広げられた台湾の戦後史はある程度知られるようになりましたが、
本書では「外省人」の視点で、そういった状況に向かい合っています。
この時代、人々は何を思い、何を考えて、そういった時代を生きてきたのか。
特に、支配者層として横暴を振るった外省人勢力ではなく、
個人として、故郷を失った「弱者」たちの視点に基づいているところに惹かれます。
私も外省籍老兵や庶民階級の外省人の聞き取りを行っていますが、台湾人とは明らかに異なる、
もう一つの「台湾史」を思い知らされます。
台湾を学ぶ上では、どうしてもこういった切り口は見落とされがちです。
そういった意味でも、ご一読をおすすめしたいと思います。
本書はハードカバー434ページと、ボリューム満点の1冊。
天野さんによれば、たっぷり一年という歳月をかけて翻訳した力作です。
書評も数多く出ているようなので、そちらも検索してみると、より厚みと期待感が出てくると思います。
http://www.fsight.jp/article/11666
フォーサイト・前朝日新聞台北支局長の野嶋剛さんが書かれた龍應台と本書の記事
https://twitter.com/taiwan_about
訳者天野健太郎さんのtwitter。
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